SSブログ

『Endeavour/新米刑事モース~オックスフォード事件簿~』、プロデューサー・ダン・マカロックの解説。-Rocket/犯罪相関図- [Roger Allam (TV)]

いよいよ『Endeavour/新米刑事モース』、Case 3~Case5のWOWOWでの放送が今週末にせまってきました!そこで、今回もプロデューサーのダン・マカロックがイギリスの雑誌Radio Timesに寄せた解説をご紹介します(オンライン版より)。この文章はイギリスでのSeries 1放送にあたり、ダン・マカロックが各話について解説したものです。今日ご紹介するのはS1Ep3"Rocket"’(Case 4:犯罪相関図)の解説となります。ソースはこちら:

Endeavour: exclusive guide to episode three - Rocket

日本語は拙訳です。今回は読解が難しくて、訳に自信のない場所が数箇所あります。その部分は赤字にし、原文をそえましたので、そこは参考程度にお読みください。訳にご指摘ある場合、コメント欄かまたはメールでお知らせください。【12/21追記】一部訳語を訂正しました、

※事件解決に直接関わるネタバレはありませんが、予備知識なしでドラマを楽しみたい方は、スルーをお勧めします。----------------------------
今週の『Endeavour/新米刑事モース』は「Rocket/犯罪相関図」というタイトルですが、話の中心は華麗なる一族-ブルーム家(夫妻を演じるのはMartin Jarvisと Jenny Seagrove)です。時代の先端を行く豪華な邸宅に住み、ミサイル工場を経営しています。

話はマーガレット王女がブリティッシュ社が製造したMkⅡミサイルのお披露目に出席するため、オックスフォードを訪れるところから始まります。この日はブライト警視正にとっては晴れがましい一日で、王女の訪問中の警備にあたれることをとても誇りに思っています。一方でモースは仕方なく日常業務をしています。しかし、目立たない工場作業員が工場の物置で殺害されているのが発見されると、モースはすぐに工場のビジネスとそのオーナーたちの思惑に巻き込まれてしまいます。ブライトは怒るでしょうね。警備の最中に何があったというのでしょう。

面白いことに、元々のアイデアは脚本家のラッセル・ルイスがオンラインで見つけたビデオからきています。それは今回の話とよく似た行幸-エリザベス女王陛下が1959年にStevenageという街を訪問された時のことで、その時街の人々や労働者がつめかけました。私たちは少し非現実的な(そして比類なくイギリス的な)行列や、そういうもったいぶったイベントが好きなのですよ。また、ミサイル工場をオックスフォードに作るという他にはない挑戦をしたかったのです。

ラッセルはイギリスの社会や文化の歴史から本質を掘り起こす才能があって、それを他の誰もが真似できないようなやり方で練り上げ、ドラマをスリリングに仕立てあげます。特に今回の話で言えば、ブリティッシュ社 (Bloodhoundやthe Thunderbirdのようなミサイル製造会社を少しモデルにしました)が持つ強大な力は、いわば古き遺産-イギリスの製造業と工業輸出が全盛期を迎えていたころの残滓といえましょう。ラッセルが打ちだした新機軸は、一枚岩と不可解さを個人の話に落としこみ、毒のあるブルーム家を通して本来のテーマを浮かび上がらせました。(Russell's real innovation was to take what could otherwise be monolithic and unknowable and personalise it, filtering the themes inherent to the setting through the poisoned prism of the Broom family.)

脚本を編集したSam Priceは、 当時Stevenageの工場で働いていた人に話を聞き、今にいたる古い会社の声を通じてエンデバー・モースがとっただろう行動を探り当てました。(Script editor Sam Price (@samdavidprice) spoke with an old shopfloor worker at the Stevenage factory, finding him in a way Endeavour Morse might: through the old Company choir, which still meets to this day.)私たちはできるだけそういう場所で独自に調査を行い、根拠のあるディテールを引用しました。数十年を過ぎた今もなお、謎のベールに包まれた部分はありますが-その時代の精神をとらえることに成功したと思います。

さらに今夜、モースが毛色の違う容疑者に出会います。センセーショナルなMaimie McCoyが演じるAlice Vexinです。Vexinはエンデバーを学生時代から知っています。モースが彼女を覚えている以上に、彼女はモースのことを覚えているようです。ここから新たな恋愛が始まるのでしょうか?

今回の設定は陰謀に満ちたオフィスです。先週のエピソード「Fugue/殺しのフーガ」からギアチェンジしたのがおわかりいただけますか?ラッセルは少し軽めで、セリフがテンポよく進む話を書きたかったのです。一方監督のクレイグ・ヴィヴェイロスと私は『マッド・メン』[訳者注:ニューヨークの広告業界が舞台のアメリカのドラマ]に熱狂していて、ブルーム家のオフィスにも家にもその雰囲気を漂わせました。興味深いことに、ラッセルが最初に舞台にしたのは城だったんです。でもクレイグとつっこんだ話をした後、モダンで要塞のような外見を持つ、エッシャーにあるPatrick Gwynneが設計した The Homewoodという建物にに決めました。

またしても『Endeavour/新米刑事モース』の新たな一面をお見せできます。みなさんに楽しんでいただくために、キャストとクルーは凍てつくような寒さの中、撮影の半分を古いTate & Lyle factory buildingの中で行いました(彼らは私のことを許してくれているでしょうか!)

-------------------------------

会社のオフィスが舞台のせいか、このエピソードは他のエピソードとかなり雰囲気が違います。私の場合、ブルーム家の人数が多くて、人間関係を把握するのに時間がかかってしまい、ようやく面白さがわかってきたのは3度目くらいでした。推理の展開は非常にオーソドックスなので、「犯人は誰か?」というタイプの話がお好きな方はどうぞご期待ください。個人的には、王女様の来訪を喜んで張り切るブライト警視正が憎めなかったです。

WOWOWプレミア 『新米刑事モース~オックスフォード事件簿~』、放送予定は以下のとおりです。

11/30(土)午後1:00 WOWOW プライム Case 3 殺しのフーガ
11/30(土)午後2:35 WOWOW プライム Case 4 犯罪相関図
11/30(土)午後4:15 WOWOW プライム Case 5 家族の肖像
nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 2

nyajara

riekさん、こんにちは♪

Endeavourの残り3つのエピソード放送が、いよいよ週末に迫りましたね♪ 楽しみです。
RocketのEpは舞台設定など異色の作品ですよね。いろいろリサーチした上で脚本が書かれているんだ~と、この記事とても興味深かったです。
そしてAliceの登場は、(いろいろな意味で?)センセーショナルな訳ですが、そこに視聴者の興味を引こうとしている記事の内容がツボでした(笑)。
"華麗なる一族"のブルーム家の当時最先端だったと思われるモダンな家やインテリアが目の保養なのと、ブライトン警視正が「宮仕えの悲哀」をにじませており、憎めないキャラだな~wと認識を改めたEpでした(笑)。
by nyajara (2013-11-26 18:59) 

riek

*nyajaraさん

こんばんは♪いやー長い長いと思ってましたが、気がついたら今週末ですね。私は完全自宅待機です。

Rocket、なかなかスケールが大きいですよね。ミサイルのお披露目に王室の方が足を運ぶなんて日本では考えられないので、文化の違いを感じました。下調べがきちんとなされていると、安心して観る事ができますね。

今言われて気がつきましたが、そうか、Aliceで興味を引こうとしてたのか(笑)彼女はちょっと可哀想かなー。だってモースったらまったく…(以下略)

私もブライト警視正はこのエピで認識が変わりました。それまでは「憎たらしいなーこのじいさん」(失礼)と思っていたのですが、このエピでは「あらなんかかわいい、憎めないわ~」になりました(笑)短いですがサーズデイとのコミカルなやりとりも楽しいです。頼むからカットしないで欲しい…。

by riek (2013-11-26 23:25) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。