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John Finnemoreのブログ翻訳。-こんなこと絶対に、絶対にあっちゃいけない。獣医にだって、人間にだって。- [etc, etc.]

ラジオドラマ『Cabin Pressure』の脚本家で、ドラマ内でスチュワードのアーサー役も演じるジョン・フィネモア。彼のブログForget What Didから2010年の記事を一つご紹介します。これはCP関連ではないのですが、思わぬところで日本との接点を感じることができる記事です。原文はこちら。拙訳にお気づきの点があれば、コメント欄またはメールでお寄せください。

【2/18追記】原文のタイトルはIt really, really shouldn't happen to a vet. Or any mortal.ですが、日本語の『ヘリオット先生奮闘記』に収録された短編集の元のタイトルがT SHOULDN'T HAPPEN TO A VET でした。するとヘリオット先生を原語で読んでいる人々には、このタイトルだけでも「あ、アレか」とピンとくるわけですね。うらやましい…。

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今年の初め、[作家の]ジェイムス・ヘリオットが獣医をしていた場所に行った。(Thirskというところで、自転車でえっちらおっちら行ったんだ。こう書くと、巡礼者のようにそこに行ったわけじゃないって感じでしょ。何で君たちがそう思うことを気にするかと言うと、僕はちょっぴり巡礼者気分だったからさ。)とにかく、そこは今は小さな博物館になっていて、彼のことと獣医の歴史について展示してあるんだ。とっても楽しかったよ。展示の一つに世界各国で出版された彼の本があった。表紙のほとんどは目をひくものじゃなくて、水がうねる谷、忠実な羊の番犬、年代ものの車を組み合わせたものか、それを全部取り入れたものだった。でもこれ、中国語だと思うんだけど(間違ってたらごめん)、ちょっとアプローチの仕方が違ったんだ。

[『ヘリオット先生奮戦記』の表紙画像]

いやはや。この男、上半身裸だし、鋼のような目つきだし、ヒーローのように立つ彼の両足は、180度に開いてまったく逆方向を向いてる-彼はまさしく、農業至上主義に取り組む偉大な共産主義のヒーロー、ジェイムス・ヘリオットだ。彼がそれほど筋肉質ではないことをのぞくと、ああ、なんてことだ、何かとてつもなく恐ろしいことが彼の顔と胴体に起こっている - 『ヘリオット先生奮戦記』が、まるでカフカの手によって再び蘇ったようだ。さらに驚いたのは…あの女性は誰?ヘレン?ミセス・パンフレイ??彼女は一体何をしてるの?なんで牛舎で床に届きそうな長さのイブニング・ドレスを着ているんだ?そしてなんで見えない彼女の目が真っ赤に輝いているんだい?

ここはもうDarrowbyじゃないね、トト。
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いやーウケる。私の訳でこの面白さが伝わっているかどうかは疑問ですが、ここまでジョンに衝撃を与えた日本語の本があることに感動しております。私はこの記事で初めて知ったのですが、ジェイムス・ヘリオットはヘリオット先生シリーズで著名な作家なのですね。調べたら確かに日本語訳が出版されていますが、ジョンのブログに載っている版はかなり古いものらしく、ネット上では今のところ見つけることができませんでした。もし古本屋かどこかで見ることがあったら、ぜひ一冊差し上げたいところです。
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Yururi

伝わりましたよー(笑)

家にあるヘリオットの本(集英社文庫版)を、思わず確認しましたが
比較的新しいからか、ぽわ〜んとしたタッチのイラストでした。

日本版じゃないと信じたかったけど、ジョンのブログに飛んだら間違いなく日本語ですね(汗)
ほのぼのとユーモラスな内容からして、ありえないイラスト! 装丁担当した人の感性が不思議過ぎます(笑)

ちなみにDr.ヘリオットのシリーズ大好きです。
by Yururi (2014-02-16 23:38) 

riek

*Yururiさん

わー、わかってくださってうれしいです!しかもこのシリーズがお好きとは。最近出ている本の表紙は、雰囲気が柔らかいですよね。Yururiさんのお話を聞いて、ジョンの驚きぶりが納得できました。

実は思い立ってヤフオクで検索したところ、これと対になる下巻を見つけることができました。ハヤカワ文庫で、昭和56年12月31日発行となってました。こちらは動物がフィーチャーされていますが、牛の目つきがすごくこわい…どう見てもほのぼの路線ではありません(汗)

Yururiさんのお勧めでしたら、今度読んでみようかしら。もろもろたまっている本やら映像やら片付けてからになりそうですが…。

by riek (2014-02-17 21:07) 

しましま

私はジェイムズ・ヘリオットについては知りませんでしたが、ウィキってみたら、1970年代から著作を発表されているので、やはり牛の横でロングドレスはイラストレーターが70年代のファンタジー・ヨーロッパ映画でも見たせいかと思いました!
この木版画のイラストって、70年代の子供向け絵本でいくつか見たことがあり、私はそのタッチがいつも暗くて強くて恐くて嫌いでした。いった誰が好きで流行っていたのか。
それがヨークシャーに保存されていてジョンが感銘を受ける・・・
すごいですね!
それでジョンのブログのコメントで日本語の文字の発音をガイドしてる人がいて可笑しい・・・ジョンが「英訳して」とリプしたのにその匿名さんはその後現れてないのも可笑しいです・・・
by しましま (2014-02-17 22:07) 

nyajara

riekさん、yururiさん、こんばんは。

JohnのブログのCP放送直後の各Epの裏話のエントリーを物色していた時に私もこの話は読んでいたんですが、riekさんの和訳でやっと細部まで知ることができました! 日本語の絵本の写真が目に飛び込んでくるのと、Johnがこのイラストにインパクトに衝撃を受けているのが印象的ですよね。riekさんの訳、Johnの驚愕の様子がよく出ています!

私の小さい頃子供向けの本にこういう「木版画調」「切り絵調」の挿絵が入っているのがゴロゴロあり、母がすすんで買い与えてくれたんですが、大人の目から見ると味わい深い絵だけど、子供心にはこの硬質な抽象表現が、なんだか恐ろしく感じられてとっつきにくかったです。もちろん実際読んでみると感動した本もありましたが、私はカラフルなぽわ~んとしたイラストの絵本の方に魅かれていました(汗)。

このヘリオット先生シリーズは読んだかどうか記憶がありませんが、俄然読みたくなってきました。図書館にならあるかな?
by nyajara (2014-02-17 22:40) 

riek

*しましまさん

70年代のファンタジー・ヨーロッパ映画…なるほど。イギリス⇒ヨーロッパだし、と深く考えずに描いてしまわれたのでしょうか。そうそう、私も木版画イラストの絵本苦手でしたよ!なんでああいうの採用されてたんでしょうね。。。

最初このエントリーを見たときにあっ、日本語の本だ!ジョンは一体に何について語ってるんだろう?と思って辞書引きながら読みました。このイラストにそこまで深く感銘を受けているとはまったく思わなかったんです。すごいセンス。コメント欄も楽しいですよね。ジョンからリプを受けたのに登場しないなんて…ああもったいない。


by riek (2014-02-18 22:31) 

riek

*nyajaraさん

お褒めの言葉、恐縮です。もちろん最初は辞書を引き引き読んだのですが、意味がわかったらジョンの様子が面白すぎて…ジョンはイラストも描く人なので、いろいろ目についたんだろうと思いますが。

衝撃を受けている部分をいかにビビッドに訳すか。前半ヘリオット先生を語る部分はお堅い単語が並んでいるので、他の言葉も少し堅めでしかも大げさに。後半の女性を語る部分は普段着の言葉を使ってみました。私としてもチャレンジだったのですが、伝わっていると言っていただけてうれしいです。

ああ、nyajaraさんもそうでしたか!木版画風でぱっと思い出すのは「モチモチの木」です。ああいう感じの絵、本当に多かったですよねー。ほんわかした絵がまだ市民権を得ていなかったのかもしれませんが、子供からするとあの手の絵は怖いだけだったんですよ!と当時の描き手に伝えたいです。

生き物系だとはるか昔にシートン動物記とかファーブル昆虫記とか読んだきりなので、入手できそうなら私も読んでみたいです。

by riek (2014-02-18 22:52) 

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