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5/9 National Theatre Archiveにて『Democracy』視聴。 [Trip to UK 2013]

遅くなりましたが、ロジャーさん出演作『Democracy』の映像を見るために、National Theatre Archiveに行ってきたのでレポします。場所はWaterlooのOld Vic Theatreのすぐそばです。でも向こうからもらったメールにもそう書いてあったのに、ちゃんと読まなかった私は、間違ってNational Theatreの方に行ってしまいました。Archiveのある建物はNational Theatreとは別の建物なので、行かれるみなさんはお間違いのないように。(ここで慌ててしまったので、建物の写真はなし。Old Vic Theatreも、ロジャーさんがMy Londonで思い出の場所に挙げていたのに、写真撮るのを忘れてしまいまいした…)

さて、入り口でチャイムを鳴らすとドアが開きます。中に入って、受付でArchive閲覧を予約した旨を伝えると、担当者を呼んでくるので、記帳して待っててくださいと言われました。ほどなく担当者が現れ、部屋まで案内してくれました。場所は2階(日本で言うところの3階)…だったかな?部屋に入ると机があり、何台かiMacが置かれています。(図書館の視聴覚教室をイメージしてください)。そのうちの一つに案内され、そこのiMacで観るように言われます(動画再生まで設定してくれます)。私の観た動画はitunesで管理されてましたよ…すごい!音声は、備え付けののヘッドホンで聴きます。もし再生中に不具合があった場合、同じ部屋にいる担当者に声をかけるとみてくれます。私も再生が1回止まってしまったので、担当者にみてもらったところ、何とか直してくれました。担当者いわく「理由がわからないんだけど…なんか不具合みたいだね」とのこと。なんじゃそりゃ(苦笑)。

資料の閲覧も希望した場合、資料が入った箱を机の上に置いておいてくれるので、自由に閲覧できます。雑誌・新聞のレビューは何冊かにまとめられていて、かなりのボリュームでした。どんな小さな記事も切り抜かれて保管されていました。ステージ関係の資料は1冊にまとめられていました。プログラム・脚本から、大道具の配置図・出演者の衣装指示書まで見る事ができました。

今回私が観た『Democracy』(マイケル・フレイン作)ですが、1.比較的最近の作品で出番が多い2.現代劇なので少しは英語がわかりやすいかも3.政治を扱った作品がわりと好き4.この作品でローレンス・オリビエ賞にノミネートされたので、多分ハズれではないという点で選びました。西独首相とそれに仕えた東独のスパイの話なので、理解に欠けるところは多々あったと思うのですが、それでも観てよかったです。なんといっても、ロジャーさん演ずるウィリー・ブラント西独首相の存在感がすごい!演説シーンなどは本当に堂に入っていて、私見ではありますがこの役で政治家イメージを確立したのかもしれない、と思ったほどです。

私は元々演劇の方にはまったく疎く、この作品が日本で上演されているかどうか調べることもしなかったのですが、帰ってきてから思い立って調べたところ、なんと2005年に上演されていました。
http://www.t1010.jp/html/calender/2005/out/03.htm

しかも出演が鹿賀丈史と市村正親。渋い。しかもこのページに詳しくあらすじが書いてある…!行く前にこれ読んでいけばよかったわ。しくしく。さらに調べたら日本語の本まで出ていた…しくしくしく。

戯曲・デモクラシー


もしロンドン行ったら『Democracy』観てみようかな、と言う方がいたら、参考になさってください。

15:30から19:30まで取っていましたが、資料等も見ていたらあっという間にあと10分に。帰り際に担当者に「ここのアーカイブは素晴らしいですね、とても感動しました。ありがとうございました。」と声をかけて帰ろうとしたところ、以下の会話となりました:

担当者:「元々『Democracy』に興味があってきたの?それとも調べものか何か?」
riek:(一瞬ドキリとしながら、でも思い切って)「実は私、ロジャー・アラムの大ファンで、何か彼の作品を観たいと思って来たんです」
担当者:「ああ、そうなんだ。ロジャーは素晴らしいよね。『テンペスト』は観る予定?」
riek:(それを振られる思わなかったので、焦り気味に)「えっ、あっ、はい、5日に観て、あっ、あと10日にもう1度観る予定です」
担当者:「それはいいね!5日はどうだった?」
riek: (さらに焦り気味に)「えー…えっと、とてもよかったです」(もっと気の利いたこと言えないのか、自分)
担当者:「それはよかった。僕も1回行きたいとは思ってるんだけど。10日に行ったら、また会えるかもしれないね!」
riek: 「え、ええ、そうですね、会えたらうれしいです」

…とこんな感じ。1往復くらいやりとりしたら帰ろうと思ったのに、話すと長くなる人いますよね、特にあちらの方…。そんなやりとりも楽しい思い出の一つになりました。でも不意に話を振られると、やはり焦ってしまいます。もっと語彙を増やして、芝居のここが素晴らしいとか語れるようになりたいと思いました。
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まゆみ

以前、といっても私が日本にいた頃なのでかなり昔ですが、日本の学識派の間で、ヨーロッパは終わっている、という言葉が囁かれたことがあります。しかし、芸術に対する政府のサポートを見る限り、私の中ではヨーロッパの歴史の重みは、アメリカには太刀打ちできないがあります。

riekさんのご報告を呼んで、自分の中で具体的なイメージが湧いてきて、心はすっかりNational Theatre Archiveです!
by まゆみ (2013-05-22 07:41) 

hedgehog

ステキなレポ、ありがとうございました。

舞台映像を見せてくれるだけでも凄いのに、そんな資料まで整理されていて、おまけに外国人にも簡単に利用させてくれるなんて凄い! こういう資料管理のシステムがあるから、次の世代の作家や批評家が育つんだろうなあ。は〜〜〜、羨ましいっ。
by hedgehog (2013-05-22 22:01) 

riek

*まゆみさん

それは今の日本も同じだと思いますよ。私は今回アーカイブに行って、舞台映像やそれにまつわる資料を保管するのにどれだけの時間とお金を費やしているのだろう、と思いました。恐らく日本は比較の対象にもならないはずです。

レポ、喜んでいただけて何よりです。記事では図書館の視聴覚室のイメージと書きましたが、あまり広い部屋はイメージしないでください。私が使った長いテーブルで5,6台。奥の方にも扉のついた小さな部屋があったのですが、そちらにあったパソコンを入れても12,3台くらいではないかと。後、窓際なので、天気がよいと日差しがまぶしいです。言えばブラインドか何かで調節してくれたのかしら?
by riek (2013-05-22 22:40) 

riek

*hedgehogさん

楽しんでいただけたなら何よりです。資料は本当にすごかったですよ。演目、短いキャッチコピー、日時、場所だけが書かれた小さな告知記事まで網羅されていました。出来がよくてメディアで取り上げられたり、賞を取ったりするとすごいボリュームになるんだろうな、切り抜きの仕事も大変だろうな、と勝手に思いを馳せました。

作家も批評家もそうですし、演劇関係者を育てるのにも一役買っていると思います。舞台自体は後に残らないものですが、映像に残しておけば過去の作品を観て研究することができるわけで、これはすごいシステムですよ。おっしゃるとおり、それをただ観光でやってきた外国人にも使わせてくれるなんて、本当にありがたいです。
by riek (2013-05-22 22:57) 

まゆみ

昨日残したコメントの前半が、なぜかすっぽり抜けていました。
要は、ご報告を読んで俄然行きたくなった事と、マイケル・フレインのことを書いたのですが。

マイケル・フレインは『Copenhagen』(ラジオ・ドラマではベネディクトがHeisenbergを演じました)の劇作家でもあるので、きっと『Democracy』は質の高い劇だっただろうな想像しています。

本当にうらやましい環境ですね。舞台を映像として後世に残す、というのは芸術に貢献する必然的な作業だと思います。貴重なご報告、ありがとうございました。
by まゆみ (2013-05-23 07:44) 

しましま

riekさん、貴重な体験レポをありがとうございます。
現場の雰囲気がよく伝わり、ドキドキしてしまいました!
演劇の底の厚さと文化に根ざした様子がriekさんのブログと
皆さんのコメントでよ〜くわかりました。羨ましい・・・
それにそもそもこの施設をご存知だという
reikさんがすごいと思いました。
見知らぬ方でも専門家の人とロジャーさんの話なら
素敵な思い出になりましたね〜〜〜

日本でこれに似た施設としてふと思い出したのは
上野にある文化会館内のバレエ・ダンス関係の図書室で、
映像も充実していて館内のモニターで閲覧可能なのです。
ここも劇場の付属施設で、日本の本格的な西洋式劇場としては
古いので、西洋の劇場を参考に作られたのかも知れません。

あと私も演劇、映画に詳しくないので日本の状況がわからないのですが
先日ブリティッシュカウンシルでケント大学の講義を聴く機会があり
デーマが「映画と暴力」でした。大学で映画を研究するということさえも
私には羨ましいなと思ったところです。

by しましま (2013-05-23 21:33) 

riek

*まゆみさん

そうそう、『Copenhagen』も書いているんですよね>マイケル・フレイン 最初は全然つながらなかったので、お恥ずかしい限りです。

舞台の映像化については、デジタルで管理していることに驚きました。どれだけのHDDを持ったサーバーを用意しているのかしら…とそんなことも思ってみたりして。本当に貴重な体験をさせてもらったと思います(でも数台だったと思いますが、ビデオ&DVDデッキをつなげてあるマシンもありましたが)
by riek (2013-05-24 08:14) 

riek

*しましまさん(コメントが途中になってすみません。書き足しました)

コメントありがとうございます。楽しんでいただけたなら何よりです。書いた甲斐がありました!この施設のことは、ロンドン行きでいろいろリサーチしている時に、やはりここに行かれた方のブログを読んで知ったのです(URL: http://ukactors.blog.fc2.com/blog-entry-193.html)これを読んだときに、ロジャーさんのもあるかしら、あるなら行きたいなーと思ったのがきっかけでした。そうそう、あの時あそこで話した方は専門家なんですよね。それもあって、ミーハーまるだしの発言をするのが一瞬ためらわれまして、ずっと焦っていました(汗)でもさらっとですが話ができてよかったです。

私も日本の演劇研究については詳しくないのですが、観劇が趣味の友人から現在の日本の演劇状況を聞いたり、先日日本で見た某舞台のことを思い返したりするたび、日に日に絶望感が強くなっています。そういうことを勘案すると、恐らくこの点ではイギリスには足も及ばないだろうと想像した次第です。でも、上野の文化会館にそういう施設があるのですね。知りませんでした。よいお話をありがとうございます。

映画もそうですね。今回BFIサウスバンクという英国映画協会の映画館に立ち寄る機会があったのですが、1Fにあるショップには世界各国の映画のDVDが地域別に棚にずらっと並んでおり、本当に壮観でした。日本の『二十四の瞳』(モノクロの方)もありました。他にも映画評論本やコレクター向けの超豪華本(例えば007とかキューブリックで、装丁が豪華だったり箱入りだったりするもの)から、お土産にも最適な各種ポストカードまで売っており、いやーこれは力の入れ具合が半端じゃないなと思いました。

ポストカードと言えば、イギリスでは映画の宣伝はチラシではなくてポストカード(またはそのサイズのもの)でやるんですね。友人がコレクトしたものの中から分けてくれたのですが、どれもデザインがおしゃれで、部屋のインテリアにもなりそうなものばかりでした。それが無料なんですから恐れ入ります。日本のものでは『おくりびと』があって、よーく見なければそうとはわからないほど洗練されていましたよ(後で画像あげようかな?)。
by riek (2013-05-25 00:23) 

しましま

riekさん、
「ミーハー発言」はロジャーさんへの愛が迸ってしまうがためでしょうけど、最近、学問も個人的な感情から始まっているのではないかと思います。(演劇、映画も突き詰めれば学問になるのに、なぜか日本ではそれが許されないのか、軽んじられて、庶民の娯楽と片付けられてしまって。)ですから専門家さんも俳優のファンの気持ちをわかってくれると思います。

以前、ロンドンで劇を見に来たという日本の演劇関係の数名に
会った事があり、その頃はこういったことに無頓着だったので
「ロンドンはおもしろいのですか?そいうえばシェイクスピアの国
ですね?」なんておバカ発言しちゃいました!
そう言えば、子供向けでも劇のクオリティが一定レベル以上です。
リンゼイ・ケンプの「真夏の世の夢」を見た時も、
マシュウ・ボーンの「くるみ割り人形」見た時も、子供が大勢来てました。そのふたつは一般の評価も高い一流のプロだから当然かもしれないけど、
小さな劇場での幼児向けの演劇でさえも、大人の私の鑑賞に耐えるのです。そのことに気づいたのは、日本に帰って来て子供を演劇に連れて行ったら、あまりの舞台のお粗末さ(演技のことは無知ですけど、舞台美術や衣装が
「子供騙しとはこのこと?」というくらいレベルが低い)に、子供の美意識がゆがんだら困ると思って連れて行くのをやめました。
それで日本の演劇にはお客が来ない=お金がない=良質なものを作れない
の悪循環なのかもしれませんが、作る側が良質なものを知らないのかも。
・・・・・・・・ガックリなこと書いてすみません!!!

BFIサウスバンク行ったことありますよ〜なんと小津安二郎を見ました!
でもショップや展示は見る機会がなかったです。
豪華セット欲しくなりますね。宝物が増えて困る・・・♫
日本でも一時、無料の宣伝用ポストカードがカフェや映画館に
現れましたがその後広がることもなくやはりチラシがメインですね。
裏面に文章たくさん書いてわかりやすくしたいのでしょうか??
ぜひぜひ、おしゃれなポストカードや、その他
riekさんの旅のお宝の画像をアップしてくださいませ!!



by しましま (2013-05-25 11:00) 

riek

*しましまさん

ああ、そのように言っていただけるととてもうれしいです。でも言われてみれば、他の分野だって最初は「好きだから、興味があるから、もっと知りたい」が原動力のはずですよね。私は芸術は心の栄養、つまり人間にが生きていくのに大いに必要なものと思っているので、もっとこの国でも大事にされてほしいと思います。

私だって、今回ロジャーさんに興味を持たなければ、シェイクスピアの舞台を英語で観ようなんて一生思わなかったですよ…。日本語でだって観た事ないのに(照)そうですか、子供向けのお芝居もそんなにレベルが高いんですか。確か年末にはパントもありましたよね。家族みんなでそういう芝居を観にいける環境が素晴らしいです。。記事にも書きましたが、『テンペスト』にも制服来た子供たちが鑑賞に来ていました。その年で生ロジャーとはうらやましい…(いやその年齢なら生コリンか)

>日本に帰って来て子供を演劇に連れて行ったら、あまりの舞台のお粗末さ
あああ…それは悲しい。私は数年前に初めて歌舞伎を観たのですが、衣装の豪華さに目を奪われました。少し遠目でも、輝きがまったく違うのです。非日常を味わうのですから、やはりそういうものを観たいですよね。日本では伝統芸能の方(野村萬歳さんとか)非常にがんばっていると思うのですが、現代劇ではどうなんでしょう。誰か危機感をもって動く人がでないと、ガックリな結果しか残らないような気がします。

BFIサウスバンクは、NTアーカイブに行く前に高いランチを食べたのと、友人との待ち合わせに使っただけなので、ショップくらいしか見られませんでした。映画をご覧になったとはうらやましい。しかも世界の小津とは!ショップではドクター・フーの50周年にちなんでいろいろなものを売っていたので、覗いてみた次第です(私ではなくて友人にファンがいるので)。無料の宣伝ポストカードはゲットしましたよ♪豪華セット、ファンにはたまらないと思いますが、すごい値段でした。300ポンドとか400ポンドとか。まぁ音楽本では私も持っているので(汗)気持ちはよくわかります…ほとんど開けないんですけど(爆)

あーそうそう、日本ではやはりチラシですね。ポストカードなどは、前売り券を買うとついてきたりするかもしれません。最近の前売り券は付録がすごいですから。おしゃれなポストカード、では後で載せますね。お宝画像は、本編(つまりレポ)終了後に一挙にアップの予定です。レポあと2回で終わりますので、もう少々お待ちください。
by riek (2013-05-25 22:10) 

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