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John Finnemoreのブログ更新(Yverdon-Les-Bains.) [Cabin Pressure (Series4)]

皆様お待ちかね?CPの脚本家でアーサー役のジョン・フィネモアのブログ(Forget What Did)が更新されました。昨晩寝る前は更新されていなくて、朝起きてチェックしたら更新されていたのですが、すでにコメント欄が100件以上のコメントで埋め尽くされていました…やはりあのエンディングはインパクトが大きかったのですね。

で、何とか翻訳が形になりましたので、未公開シーン以外の全文をアップします。以下ネタバレ含みますので、ご注意ください。コメント、誤訳の指摘等大歓迎です。よろしくお願いします。

[編集:ええと、ちょっと気がとがめてるんだけど。大丈夫だよ!傷ついてなんていないよ。マンガ効果を使って、返信をおおげさに書いてみただけなんだ。ほんとに大丈夫だから!でも、素晴らしいコメントをありがとう - みんなが気に入ってくれて本当にうれしいよ、結果がみんなの信頼に応えられることを願っている。]

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えっ?何でそんな目でぼくを見るの?何か君の気に障ることでもあったのかい?

じゃあ、今週は、解説と質疑応答から始めようか。

'フィネモア、あんたひどい人だね。くたばっていいよ'
…わかった。はっきり言ってくれてありがとう。

'これはなんていう終わり方なんですか?'
僕はクリフハンガーエンディング(中途半端で続きが気になる結末)って呼んでるよ。気に入った?どうやらそうじゃないみたいだね。

'これはコメディだってこと忘れちゃった?’
あたた。そんなことないよ。ジョークだらけじゃん。

'どうしてこんな風に私の心をめちゃくちゃにしちゃったの?48時間ずっと泣きっぱなしで、私の体の中には水分はまったく残っていないし、涙腺もカラカラよ。どう?満足した?

オーケー、みんなからこういう反響をもらってとってもびっくりしているよ。クリフハンガーに対してイライラする、というコメントは少なからずあると思っていたけど、こんなにたくさん「泣いちゃった」コメントをもらうなんて、本当にショックだ。しかも明らかに僕のせいってことだよね。無神経な奴になるつもりはないけど、でも…みんな、何がそんなに悲しいの?だって…マーティンは仕事をオファーされたんだよ!技術試験は100%正解だったし、MJNのみんなは素晴らしい推薦状を書いたし、マーティンはオスカー(スイスエアウェイズのCEO)を部屋に足止めすることができたし、立派に英雄ばりの演説をしたし、何より、仕事をオファーされたんだよ!もちろん、彼はこれから大きな決断をしなくちゃいけなくて、その決断によって悲しい結末が生まれるかもしれない。でも彼はまだ何も決めてないから、僕たちは悲しい結末っていうのが本当に悲しいものになるのかわからないんだよ。神様、どうか助けてください、僕は温かくてほのぼのとしたエピソードを書いたつもりだったんです。でもうっかりリア王を書いてしまいました。

じゃあここで、僕のクリフハンガールールについて説明しようか。

その1)クリフハンガーはとても強力だけど。観客をいらつかせるものだから、それをやる正当な理由がある場合に限って、十分注意を払って使うべきだ。今回のクリフハンガーはCPでは初めてやったんだけど、僕からするとマーティンが彼特有の強みと弱みを駆使して、どうやってメジャーな航空会社からオファーを引き出すか?そしてもしオファーをもらったらどうするか?という2つの問題があって、それらは1つのエピソードで答えを出すには大きすぎたんだ。加えて、マーティンが自分の好きな仕事を続けるには給料をもらう必要があるんだけど、キャロリンとダグラスからするとMJNが存続するためにはマーティンに無給であってほしいわけで、そこが物語全体を通じて大きなジレンマになってきたんだよ。(最初はそのつもりじゃなかったんだけど、途中で話が変わったんだ)この問題をどうやって解決するか?この疑問が、今回のクリフハンガーに値するように僕には思える。

その2)クリフハンガーを物語の結末の代わりにに使うべきではない。そうするドラマもあるけど、それはずるいやり方だと思う。結末にクリフハンガーを持ってくるなら、納得のいく結果がついてこなければいけない。理想的なのは、エピソード内の大きな問題に答えがでること -そしてその答えが、クリフハンガーにつながるさらに大きな(しかも予想外の)問題を投げかけることだ。だからこのエピソードでの問題は、「マーティンは仕事のオファーを得るだろうか?もし得るとしたらどうやって?」であるわけで、それが解決したら、さらに大きな問題は「彼がそのオファーを受けるかどうか?」ってことになるよね。

その3) クリフハンガーは、感情的でなくてはいけない。少なくとも中心人物にとっては大きなジレンマにならないといけない。身体的なものや、外からわかるものではなくてね。答えがでなかった問題というのは、必ず「彼または彼女はどうするだろう?」「彼または彼女に何が起きるのだろう?」というものでなくてはならない。ランダムに例を挙げると、悪いクリフハンガーというのは「ヒーローが建物の屋上からやむなく飛び降りることになった。彼は生き延びられるのか?」というもので、良いクリフハンガーというのは「彼は生き延びた!でもどうやって?しかも何で友達から隠れないといけないの?」というものだ。(ところでスティーブン・モファットは最高の脚本家で、彼と比べられるのはとても光栄なことだ。でも彼がクリフハンガーエンディングを発明したわけじゃない。脚本家がよく使う手なんだよ)だからこの場合、「スイスエアウェイズがマーティンに仕事をオファーするかどうか?」という問題をクリフハンガーにするのは不公平なはずなんだ、なぜならルールその3に反しているだけでなく、マーティンの意思ではどうにもできないことだからだ。でも「マーティンが仕事をオファーされた!彼はそれを受けるか否か?」なら、公平なゲームだと思える。もちろん、人の意見は様々だろうけどね。

で、これが一番大事なことなんだけど:

4)クリフハンガーは視聴者との約束なんだ。「今は答えを保留にしているけど、でも僕を信じて。その答えを得る時、待っててよかったときっと思えるはずだ」という気持ちを言外にこめているんだよ。そして、そのように約束するからには、それを守るように努力するべきだし、少なくてもそれが実現可能と思うべきなんだ。

今後このドラマがどうなるかについて、今はコメントすることはできないけど、それは単に僕だけでは決められないからだ。でもこれだけは声を大にして言っておくよ、はっきり言って、どう見ても明らかだよね?それ以上の意味があることに、僕は驚きを感じている。

Yverdon がCPのラストのエピソードになるべきだとは思わなかったし、今も思っていない。

だから、みんな、僕のことを信じてね。AからYまでだよ?
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(A to Yの後に"Have a banana"と付け加えたくなってしまった…)いやー、放送後すぐにここまで語っちゃうなんて、ジョンすごい。実は今まで私、作り手は裏話を出しすぎないほうがいいんじゃないかと思っていたのですが、これはもう新しい形なのかもしれません。そうか、うっかりリア王書いちゃったのか。ウケた!とりあえず、Yを最後のエピソードとは思っていない、というコメントに一安心です。あと、「クリフハンガーは観客との約束~」のくだりに泣きそうになってしまいました。ジョン、ありがとう、この一文を読めただけで、私はとても幸せです。

【2/19追記】文章を一部手直ししました。コメントは引き続き歓迎です、よろしくお願いします。
【2/24追記】文章を一部手直ししました。また、ジョンが追加で載せたコメントの翻訳も追加しました。
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まゆみ

ジョンのブログを首を長くして待っていました。
YLBの反響の凄まじさに驚いているというのが、良くわかりました。Cliff-hangerについての彼のルールが上手く説明してあって、うなりました。彼のブログは脚本家を目指している人へのお手本みたいなものだと、読むたびに思います。

今回のブログの中で一番面白かったのは、聴取者が涙したという反応に彼が驚いている部分です。CPのファンが、ここまで登場人物に感情移入している事を、彼は本当に知らなかったのかしら。

YLBのエピソードでは、私は数回涙しました。涙が出るくらい笑ったことは、どのエピソードでもありましたが、感極まってウルウルしたのは、今回が初めてです。
アーサーが、マーティンの評価用紙に新たな記入項Brilliant!を作り、全ての質問にチェックしているという話が出た時。キャロリンが、費用のことにはいっさいかまわず(空港に着陸すると着陸料というのがかかるのですよ。)、マーティンを迎えに行こうと言った時。インタビューでの、マーティンの熱血スピーチを聴いた時。アーサーが、MJNがなくなったら僕はホテルのポーターになるから大丈夫と言った時。そして、あのエンディング。マーティンの気持ちが手に取るように分かり、speechlessになってしまいました。

私自身も、ラジオ・コメディにこれほど感情移入するとは思わなかったので、ジョンが意外だと思ったのも無理ないかもしれません。この現象は、CPが作者の予想を遥かに超え、傑作の域に達しつつあることを示していると思うのですが、いかがでしょう。これほど知的に上手く練られた、25もの脚本を聴く機会が得られたのは幸運でした。

>I mean, come on guys, give me some credit. A to Y?

Yes! 26番目があるということを考えただけで、人生が楽しくなります。Thank you, John!
by まゆみ (2013-02-16 13:27) 

riek

*まゆみさん

そうですね。私はジャンルは違うのですが、一時期創作する側にあったので、実はジョンの言っていることもとてもよくわかります。双方の反応がとても興味深いです。多分、ジョンはいつものシットコムを書いただけで、キャラクターにこれほど聴取者が感情移入するとは思わなかった。彼が想定しているのは、常に聴取者を笑わせること。だから、シットコムで泣いたという、想定外の反響に戸惑っているのではないでしょうか。ブログを読んだ印象ですが、実はジョンは思いのほかクールで、職人かたぎだと思います。

今回は本当にいい話が多かったですよね。今までなら1つのエピソードに1つ入るか入らないかのいい話が、3つも4つも入っていたのですから、うるうるしますよ…もちろん、脚本の意図を的確に読み取って、声だけで微妙な感情を表現した声優さんたちの演技にも拍手を送りたいです。

コメント欄のコメントは伸び続けて、今は200を越しています。今後の作品作りを後押しするパワーになるといいのですが。
by riek (2013-02-16 19:28) 

nyajara

riekさん、みなさん こんにちは♪
nyajaraです。

ブログへのコメント数、スゴイ事になってますね!先ほど見たら238件のコメントになってました。

riekさん、短時間でこんなに長い内容の翻訳して頂いて ありがとうございます♡
今回のYでアーサーの言葉にうるっときてしまいますが、JohnのこのエントリーにもCPへの愛情が感じられて、またうるっときました。ともかく次回があるという事で一安心ですが、次回は本当の最後が待ち受けているという、まだ内容も知らないけど、それもつらいわぁ〜(涙)

hence って自分では一生使えない言葉ですが、類語辞典で because of とあったので、「(もちろんcomedyだよ)だってjokes (盛り込んであるし)」てな感じかな〜と思いました。→でも自信なし
ambiguityの部分は、 私も「obvious と思ってたけど それ以上の事があるのに驚く」と解釈しました。
ホント手の内というか、ここまで語ってくれるジョンってすごい♪

今回確かにダグラスかわいそうですよね〜 マーティン症候群?彼らの絆がこんな形で…(笑)
by nyajara (2013-02-16 19:41) 

riek

*nyajaraさん

こちらこそ拙和訳を読んでいただき、ありがとうございます。おかげで、行こうと思っていたヘルニアのリハビリと、見ようと思っていた『パレーズ・エンド』が繰り延べになってしまいました(笑)でも、何か「これはやらなくては!」という思いに駆られまして…過去記事もおいおいやっていく予定です。そうですね、次はあると言ってくれたけど、最後かもしれないですものね。本当にどうなるんでしょう。

henceについてコメントありがとうございます。nyajaraさんの訳、いい感じですね。私の持っている英英辞典だと、for this reasonとなっているのですが、それだと何か感じがでなくって。もう少し調べてみます。手の内をあっさり語っているのは、サービス精神もあるけど、題材が大河ドラマじゃなくてシットコムだからかな、と思ったりして。

マーティン症候群、それ、いいですっ!(笑)5年も一緒にいればそうなりますかね、でもあまりにハマり過ぎてて何度聴いても笑ってしまいます。
by riek (2013-02-16 23:43) 

hedgehog

まゆみさん

全訳、ありがとうございました!

ジョンのクリフハンガー論、「さすがっ」と思いました。良い脚本家ならではの考え方ですよね。あとは、ジョンが「約束」をどういう形で果たしてくれるか、首を長くして待つのみなんですが……「Y」が最終回じゃなくても「Z」が最終回かもしれないと思うと、私はやっぱり気が気じゃないんですけどっ!

それから、「彼は生き延びた!でもどうやって?しかも何で友達から隠れないといけないの?」にはちょっと笑ってしまいました。確かに、CPを聴いている人で、この例えが分からない人はいませんよね。
by hedgehog (2013-02-17 10:53) 

riek

*hedgehogさん

ありがとうございます。ジョンの脚本論は本当に面白くて、訳すの大変だったけど楽しい作業でした。その辺をふまえて聞きなおすと、いかにプロフェッショナリズムに裏打ちされているかがよくわかります。私もZでは終わってほしくないんですが、MJN Airの現状を考えると…ねぇ…ダグラス、なんとかしれくれませんか?(笑)

コメント欄でもSherlockに絡めたコメントが結構あるから、例えで使ってみたんでしょうか。確かに一言もSherlockと書いてないのにわかってしまった!(笑)
by riek (2013-02-17 13:19) 

tikitiki

この記事が読めて本当によかったです。
ありがとうございます。
by tikitiki (2013-10-28 00:19) 

riek

*tikitikiさん

こちらこそ読んでくださってありがとうございます。あ、まずお礼はジョンにお願いします(^^)

by riek (2013-10-28 21:19) 

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